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コリー達に囲まれて

ブリーダーとして、コリー達と共に過ごす日々の記録です。画像や動画や記事の無断使用を禁じます。


In 10 2012

17
Category: 飼育   Tags: ---

コリー:全盲の犬

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子犬情報
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他のコリー飼いの方がブログに貼っていらっしゃったアメリカのトレーナーの
シーザー・ミランが問題行動をする全盲のラブラドールの飼主さんにリハビリ
指導をする動画をYouTubeの方で大きな画面にして拝見しました。


それで、これは最も肝心な部分が抜け落ちていると思ったので、ちょっと
書かせて頂きますね。


まず、最初に書いておきますが、私は全盲のコリーの飼育経験があります。
非常に美しい子だったので種オスにするつもりで犬舎に残しましたが、運動場に
出して走らせ始めた頃であったので、おそらく生後3~4か月だったと思うの
ですが(過去の手帳を見ないと正確には分からないのですが)、走り方が
普通の子と違って、頭を低く下げて走り、しかも体型からして広い歩幅に
なるはずなのにどうにもストライドが伸びない、おかしい・・・そう思って、
病院で調べてもらい、全く見えていないのだと分かりました。名前はカムイ、
今、4歳です。


眼球は消失していませんし、眼窩も落ち窪んでいません。外からでは全盲だとは
全く分かりません。器用に水たまりを飛び越し、フェンスの柱を避け、自分の
ケージへ戻り、閉まっていると、自分の前肢や鼻で上手に開けて、中へ入ります。
岩場でも走っていますし、うまい具合に樹も避けています。


私が、カムイが全盲だと分かってから特に気を付けたことは、他の犬たちとの
トラブルに巻き込まれて怪我をしないこと、カムイの餌を他の犬が取らない
ように、必ず、ケージの中で食べさせ、他の犬が扉を開けて、カムイの餌を
奪いにゆかないように、カムイが食べ終わるまできちんと閉めておくことです。


あの問題犬の飼主さんの餌の食べさせ方では、ああなるのが当たり前です。
おそらく成長するまでの間に頻繁に他の同居犬たちに餌を奪われたに違いないです。
奪われまいと必死で、あのような威嚇行動が起き、過度のストレスの転化行動として
ぐるぐる回って自分の尻尾を噛むようになったのです。


あのような食事にまつわる問題行動を身に付けることは、集団飼育の場合、犬種や
全盲であるかないかに関係なく起こります。うちでも1頭、食後に一粒のフードの
奪い合いで喧嘩になった際に強く叱りすぎたのと、吠えることできつく叱りつけた
ことが重なったせいで、食事がらみで異様な興奮を示すようになった子が居ます。
完全なしつけの失敗です。今は、コントロールの方法が見つかり、問題なくやって
いますが、当時は悩みました。


その子は、食前は回りに他の犬が居てもたとえぶつかっても足を踏んでも怒らず
全く大丈夫なのに、食べ始めてから食べ終わったあとの数十分後までの間、危なくて
他の犬を近くに行かせられないのです。シーザーミランの動画の犬ほどでは無いですし、
人間に対してはしませんが、他の犬たちに対しては、かなりの威嚇行動を見せます。
でも、食後、数十分が経てば、何事もなかったように落ち着いているのです。同胎犬が
嘱託警察犬になっているラプターです。


人間でも食事を始めると体温が高くなり血流が増しますが、犬も同じで、そういう
状態は、攻撃モードにすぐに突入可能なのです。だから食物に関してトラブルが
生じた場合には、静かに1頭で食べさせるということが重要になってきます。


あの飼主さんが最初に行うべきは、シーザーミランに指導されたように、器を
手に取って、犬が落ち着くのを待ってから食べさせることではなく、食べさせる
場所をオープンなキッチンではなく、全盲の子専用のケージに変えるということ
なのです。


犬は目線が上に上がると(全盲の子の場合は、見えてはいないわけですから
目線というのも変ですが、要するに顎を上げて見上げるような頭の位置を
匂いと声掛けで作るわけです)、骨格構成上、必然的に、腰を落とした姿勢、
つまりお座りの状態になり、そのせいで落ち着きを取り戻してくるので
(お座りの姿勢からでは、すぐに襲撃体勢にはなれませんから)、指導方法と
しては間違っていないのですが、それ以前に、ケージ内で、静かに落ち着いて
食べれるように環境を整えてやるべきなのです。


あのリハビリが意味することは、犬の口元に人の手で食べ物を運んでやれという
意味ではなくて、犬を落ち着かせること、犬に落ち着きを取り戻しやすい姿勢を
取らせる為に、器を人が持って、犬の視線を上方にあげ(見上げるような頭の
位置を作り)、即座に襲撃に移行ができないお座りの姿勢にさせることにより
犬の気分をコントロールしろということなのです。


そして、飼主さんのボディランゲージや心に抱いたほんのわずかの緊張が
動物には即座に伝わるものなので、飼主さんがまずリラックスしなさいという
意味です。


そして、なぜ、いつも餌を与えているキッチンではない場所で、シーザーミランが
飼主さんを指導したかというと、犬のテリトリーのキッチンであれば、たとえ名人で
あっても、即座には悪癖を直せないからなんです。


ムツゴロウさんが問題犬をリハビリする再放送の番組がBSで放送されたりして
いますが、ムツゴロウさんも同じように、最初はまず、犬が悪癖を身に付けた
場所を避けて、犬にとって不慣れな場所でリハビリを始めていますよ。


私は、コリーを飼い始める前に、サラブレッドにさんざん舐められて、痛い思い、
辛い思いをしました。何度も暴走され、ロデオのように暴れられ、足指を骨折した
こともありますし、手の指を咬み切られそうになったりもしましたが、
なんとか恐怖心を克服し、クラブ長の指導のもと、馬の悪癖を矯正した経験が
あります。


悪癖というのは、完全に消失することはありません。なにかのきっかけですぐに
元に戻ってしまう。だから大変なんです。まずは悪癖を身に付けさせないように
環境を整えるのが大切なのです。


一般の飼主さんはいつも、愛情と結び付けて、犬の問題行動を捉えようとしてしまい
がちですが、もっと根源的なもの、動物の本能とか発達心理学などに関する本をよく
読んでから、ああいったマジックのような動画を見ると、また印象は異なってきます。
動物の本能とか心理を学ぶ上で、ローレンツやデズモンド・モリスの著書などは
どうしても読んでおきたい本です。


馬でも犬でも、職業トレーナーは実は、公にできない訓練手法というのをいくつも
持っています。
公表されているのは、一般人が見ても大騒ぎにならない安心なものだけです。
奥の手とか秘儀というのは、何も知らない一般人が見ると、勘違いをして虐待だと
クレームがつくようなものがけっこうあります。


私の友人の友人がカナダ在住で、シーザー・ミランのセミナーに参加したそうです。
私もミランの著書を持っていますけど、著書の表紙には絶対載せないような強烈な
スパイク首輪をした犬も居たそうです。名人をもってしても、そういった飛び道具が
必要なきつい性質に育ってしまった犬もいるということですが、育て上げる際に
細心の注意を払ってやると、そんな問題犬にならずに済みます。


食欲と繁殖欲は、動物を支配する絶対のものです。人の愛情すら割り込めないほど
大きな力で動物を動かします。そのことを常に覚えておいて下さい。本能とか野性を
侮ってはいけません。愛情があれば解決するという甘い問題ではないのです。


安心して、誰にも奪われずに楽しく食べれる場所と時間を御愛犬に提供してあげて
下さい。うちの全盲のカムイは、目が見えていなくても、他の子たちと楽しく
遊んでいますし、どこに居ても、たとえヒート中のメスを追いかけている最中で
あっても、私が呼べば戻ってきます。


カムイだけは、よほどのことが無い限りは強く叱らないように、絶対に他の犬に
怪我をさせられないように、他の犬に餌を奪われないようにと思い続けて4年間、
育ててきたからです。
ハンディキャップがある子だからと甘やかしたことは1度もありません。ただ、
衣食住のすべてにおいて、安全を確保してやったのです。


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